正直になれない大学生ブログ

普通のことを普通につらつら書いていく。そんなブログ。

信じたい情報だけを信じる=あきらめ

すべての新聞は「偏って」いる ホンネと数字のメディア論 (扶桑社) 荻上チキ (著)

 

 偏見で「朝日新聞は売国奴だ!」「読売新聞は安倍と繋がっている」と思ってはいないか。それだけではなく、常に自分の都合の良いようにバイアスをかけてはいないか。そのためにもリテラシーの重要性を理解し情報を取捨選択する力を養うべきだ、というだけの本ではない。新聞を切り口にし、メディアが生む偏りがどういったものかを丁寧に教えてくれる。

 

 「すべてのメディアは『偏って』いる」。新聞テレビの報道であれ趣味で撮るカメラでさえそこに「バイアス」がかかり中立は存在しない。例えば、新書について考えてみたい。新書にはレーベルというものがありそのレーベルを置いているのは出版社である。バイアスの強い岩波新書、ユニークなタイトルが多い光文社新書、自然科学を強みとするブルーバックスなど、出版社にはそれぞれのカラーが存在し、かつ種類が豊富だ。

 そこで、小飼禅は『新書がベスト』で新書の値段の安さを活かして「にわか専門家になりたいとき」は1冊を読むのではなく関連した10冊を読むことを推奨している。これは情報が偏らないようにしているわけである。本書の最終チャプターでポジ出しの14「横断的な世論調査のまとめサイトをつくる」とあるが、そこからさらに飛躍して、「横断的に情報を取得できるサービスをつくる」ことができれば多面的な理解が可能になると感じた。そこまでは難しいにしても、津田大介が言うように「基本のサービスは無料で開放して、付加サービス」などを「料金を払って」読める形態にすることぐらいはできるのではないか。現在音楽業界では『AWA』や『Spotify』、漫画業界では『Komiflo』と会社を横断して楽しめるサービスも広まって来ている。

 

 情報社会と言われる昨今は、情報いかに多く知り活用していけるかが重要である。本書の魅力は、情報が正しいかという「透明性」や受け手の要望に答える「応答性」を情報の送り手に求め、決して受け手側だけにリテラシーを求めるのではない点だ。「こじんまりとした提言で一歩ずつメディア社会をよくしよう」という目標のもと小さな事例を紹介していき、「全文報道をする」「ソースへのリンクを貼る」などメディア側の責任もあると訴える。すると、こんなサービスが欲しい、必要だと考えが湧き上がってしまうくらい、メディアの課題が山積みであることを実感する。

 

すべての新聞は「偏って」いる  ホンネと数字のメディア論

すべての新聞は「偏って」いる ホンネと数字のメディア論

 

 

印象に残った言葉

「安易に『真実』を求めず、自分の『偏り』と社会の複雑さと向き合うということが重要」

 

今週読んだ本
  • 地域メディアが地域を変える (日本経済評論社) 河井 孝仁 (著), 遊橋 裕泰 (著) – 2009/5
  • 日本語教室 (新潮新書)  井上 ひさし (著) – 2011/3/1
  • 名画で読み解く イギリス王家12の物語 (光文社新書) 中野 京子 (著) – 2017/10/17