正直になれない大学生ブログ

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線を消して引いて、二項対立で文章を書く

大学生の論文執筆法 (ちくま新書) 石原 千秋 (著)

 

 レポートを書くことは苦しいだろうか。

 大学生になるとレポートと呼ばれる提出課題が課せられるようになる。例えば、「これからの観光資源」とか「谷崎潤一郎について」といったテーマを与えられる。その際に二項対立を意識すると本書が目指す「普通そう思われてるような常識を覆すような論を展開する」文章が書けるようになるという。例えば、先日私が取り上げた『名画で読み解く イギリス王家12の物語』を例に挙げる。イギリス王朝は残酷であり、私たち現代人とは違うという「境界」つまり、「線」が引かれていることを前提として私は書き始めた。しかし、実はイギリス王朝も現代の我々も「盛る」という部分では共通してると示すことによってその「線」を取り外した。そうすることによって「普通そう思われてるような常識を覆すような論を展開する」文章が書けるのである(書いたつもりだ)。論文においてはこの前提として引かれた「線」を消して、新たな「線」を引いて、そしてまた引くといった作業が増えてくる。

 

 本書は先の例で挙げたように、「線」を引いたり消したりして二項対立を意識し文章を書く手引きになるものだ。いくつかの例文を参照にしつつ、どこに「線」が引かれたり消されたりしているのかを解説し二項対立で読んで書けるようにコツを解説してくれる。しかし、論文においては文章の書き方だけではなく、授業で習ったことを復習しながらテーマと自分が書く内容に合わせた文献を探す技術や、効率よく文献を探すための本のマッピング作業も必要である。1部と2部に分かれており、1部では文献の検索手段や文章の基本的な法則、大学の実情(明確な判断基準を持たない教授批判など)も前フリとして書かれているのだが、それらに関しては駆け足で紹介されている。一方2部では、読者のターゲットや前提となる「線」をどこに引くのか、その「線」を引きなおすことで何が見えてくるのかが書かれており、「普通そう思われてるような常識を覆すような論を展開する」文章を目指す。

 

 私はレポートを書き始めた大学1年生の頃とゼミ論文を書き上げた後では本書の内容が全然違って見えた。自分なりに試行錯誤をして、論文の書き方を指南した本を読んでもまだ納得のいくレポートが書けないと感じたらぜひ本書を参考にしてほしいと思う。

 

印象に残った言葉

「蓮實重彥とか柄谷行人とか上野千鶴子とか三浦雅士とか加藤典洋とか吉見俊哉とか大澤真幸とか高橋哲哉とか宮台真司とか東浩紀のような名の通ったプロの批評家なら(これらの名前を1人も知らなかったら文科系の大学生としてはかなりヤバイ状況だと思う)、メディアによって文体を変える必要などない」 

 

大学生の論文執筆法 (ちくま新書)

大学生の論文執筆法 (ちくま新書)